SSブログ

福祉が不運を克服し、成長の原動力へと変換する [社会保障]

とある学校向けに書いた論述です

--------------------------------
 人生は多くの不運に満ちている。例えば病気を患う、心身の障害を負う、勤務先が倒産する、家族と不仲になるなどは誰にでも起こりうることだ。そして自分の心がけだけでは防ぎきれない理不尽さがある。だから将来に希望を抱くとき、不安も芽生える。 そこで、もしものときに備えて保険に加入したり、健康診断を受けるといったことで不安を克服しようとする。
 けれども、個人の能力だけではどうすることもできない困難なケースも起こる。そうしたときは社会の力で課題を取り除こうというのが社会福祉の諸制度だと考えている。言い換えると、大変な不運に直面しても社会が守ってくれるという安心感が醸成されていることで、リスクが想定されても人生にチャレンジできるわけだ。そう考えると社会福祉は社会を発展させる原動力とも言えるだろう。
 私は3姉妹の親だが、子育ては何が起こるか分からない不確実性に満ちている。もちろん親の思い通りに育ってはくれないし、重大な病気や事故に巻き込まれるかも知れない。また充分な教育費を稼げるか自信もない。そういった子育てのリスクやコストをていねいに拾い集めると、将来への不安が膨らみ、とてもじゃないが親になろうと決断できない。
 しかし保育制度があり、もしもの時は医療保険を使えば治療を受けられるだろう。失業には雇用保険があるし、病気で働けなくなっても生活保護を受けながら生活再建を目指せる。こういった社会福祉の制度が整っているから、子育ては不安だけど、楽しみや喜びが大きいから親になろうと決断できる。
 実際に親となってからは、社会福祉に支えられていることを日々実感している。子育ての悩みは保育所の保育士のほか、保険薬局の薬剤師、子育て支援団体のボランティアに相談しながら解決してきた。長期入院したときは高額療養費制度に助けられた。そして地元町会の皆さんによる見守りも心強い。核家族ではあるけれど、多くの人たちや制度による支えがあるから子育てできている。
 ところが重大な課題に直面したとき、諸制度を使いこなしたり、専門職の支援を受けることは難しい。制度は複雑だし、当事者として、目の前で起きていることを冷静に理解、受容して行動できる人は希だろう。そこで当事者の事情を理解し、地域の社会福祉資源につないだり、多職種連携をコーディネートする役割が必要だろう。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。