SSブログ

アイヌ先住民族で気づいた子育て論 [育児よもやま話]

どんな街で暮らすかによって、子どもの育ちは決定的な影響を受けます。この頃はテレビ、広告、ゲームなどの押しつけがましいメディアや、携帯電話、インターネットといった使い方の難しいツールが、フラッシュのように子どもたちを惑わします。それでもやはり人間は社会性の強い動物だから、地域社会のうずまきから逃れることはできません。

今週の、いや人生で心に刻まれたニュースランキングに入りそうなのがこれ。2008年6月6日、日本国の歴史が動いたことに、どれほどの国民が気づいたでしょうか。

「アイヌは先住民族」 衆参両院全会一致で決議

チチは少年時代を北海道で過ごしました。今から25年以上も昔のことですが、そこはアイヌ民族の存在がとても色濃い地でした。

小学校の副読本ではたくさんの頁を使って彼らの歴史が解説してありましたし、アイヌの少女、知里幸恵さんが言語学者の金田一京助のすすめで85年前にまとめた「アイヌ神揺集」は中学生になったら読むべき図書の1つでした。・・・チチの周りではね

文科省検済の教科書には、旧石器>狩猟採集の縄文>鉄と稲作の弥生、と当たり前のように単一民族史が書いてありました。しかし北の地で少年は、狩猟採集の文明が発達した続縄文時代、オホーツク北方民族からの影響、東日本で発達したアイヌ文明とシャーマニズム、松前藩による植民地化の試み・・・そんな多様で豊かな民族のせめぎ合う日本史を教室で学びました。

そして、風貌が自分と違うアイヌ人を差別して、先生からはこっぴどくしかられることも。


しかし、少年チチがほんとうにびっくらこいたのは、関東へ転校したときです。

アイヌ民族なんて、教室のだれもが知りません。豊かな東日本の民族史に関心を払う教師もいないのです。そして教室では歪曲された日本史が平然と語られているじゃない。

そのときチチは恐れおののきました。

この人たちは、どこの国の人?

北海道の教室で語られていた真実をプレゼンテーションしても、フィクションじゃないとのかと受け止められるのです。そして少年チチは気づきました。真実は1つじゃなく人の数だけあって、それは自分の知見と経験でしか見極められないのだと。

転校しなければ、日本はどこも同じだと思っていたでしょう。

北海道での少年時代がなければ、アイヌ人が自分たちと同じ地で暮らしていることに気づかなかったでしょう。

ある地域にいるから、無意識の思い込んでいるだけの歪んだ真実はたくさんあるのです。

ならば親や大人たちは子どもたちに何を伝えられるのか。

マクロな見方も大切ですが、まずすべき一歩は今暮らす地の風土を見せることではないだろうか。街ごとに歴史があり、文化風習、利権、自然・・・・・があります。それは隣の町会ともちがったりするじゃない。地元町会のH谷とM本町は、やっぱちがうもんね。街の起源、商業とかもね。

そんなことを知るとき、子どもたちは自分たちのオリジナリティや尊さに気づくでしょう。世界は多様だから豊かなのだと、グローバリズムの虚構にも気がつくでしょう。

幼児であれば、地元の祭りに参加する。商店街で買い物することからでもいいかな。
年長や小学生は、市町村の地域博物館へ出かけて、学芸員さんとのワークショップに参加するのはいかがですか。
町内の小さな図書館にも、地域の史料はたくさんあるし、自分の街だから興味を持てるので小学生高学年なら専門書や論文も読み解けます。

子どもたちには、この地で暮らしていることのアイデンティティを持たせてあげたいのです。

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。